誰がいつ買ったかは忘れたけど,なぜかずっと前からカリタのドリッパーが家(もしくは実家)にあった,という方は意外と多いのではないでしょうか。白くて,台形型で底に3つの穴があり,陶器でできているこのドリッパーは,「コーヒーのドリッパーを思い浮かべてください」と言われたときに多くの人がパッと思い浮かべる形かもしれません。
ドイツのメリタのドリッパーと似た形をしていますが,カリタは日本のメーカーです。穴の数に違いがあり,メリタは1つ穴なのに対してカリタは3つ穴です。お湯の注ぎ方にも違いがあり,メリタの場合は1度にお湯を注ぐのですが,カリタでは数回に分けて「の」の字を描くようにお湯を注ぎます。この点,メリタより少し難しいともいえますし,注ぎ方にこだわりが出せるともいえます。
カリタのドリッパーにはウェーブフィルターを使用するタイプもあるのですが,ここでは台形型のスタンダードなタイプのドリッパーを使ったコーヒーのいれ方について解説します。
カリタのドリッパーの特徴
台形型で底に3つの穴が開いているのが特徴です。ドリッパー内側にはリブ(溝)が刻まれています。
写真のドリッパーは大体1000円以下で購入できます。上位モデルに波佐見焼を使用したものがあり,価格は2000円以上しますがとてもきれいです。また,陶器の他にプラスチック製のタイプもあり,そちらの方が陶器製よりもお手ごろな価格です。
必要な道具
- ドリッパー
- ペーパーフィルター(ドリッパーと同じメーカーのサイズが合ったものがオススメです)
- メジャースプーン(私が購入したドリッパーには付属していなかったので別途購入しました)
- コーヒーサーバー
- ドリップポット
- コーヒーカップ
- 抽出後のドリッパーを置いておくためのカップ(必須ではないですが準備しておくと便利です)
カリタのメジャースプーンは1杯約10g程度です。(重量は焙煎具合で多少変わります。深煎りであるほど豆に含まれる水分が抜けているので軽くなります。)
メジャースプーンがドリッパーに付属していない場合はAmazonで購入が可能です。樹脂製ですが厚みがあってしっかりしており,いくつかカラーバリエーションがあります。
コーヒーをいれる手順
① ペーパーフィルターをセットする
ペーパーフィルターは写真のように圧着されている箇所に折り目をつけます。このとき,片方を山折りにしたら,もう片方は谷折りにしてください。(互い違いになっていればOK)
② ペーパーフィルターのリンスとコーヒーサーバー,コーヒーカップの予熱をする
ペーパーフィルターをセットしたら“リンス”と器具の予熱を行います。リンスとはコーヒーの粉を入れる前のペーパーフィルターにお湯を通すことで,フィルターの紙臭さをとる目的があります。
ドリッパーが陶器製の場合はあらかじめ温めておいた方が良いので,ペーパーフィルターをセットしたらしっかりお湯をかけてドリッパーの予熱も同時にやってしまいましょう。
また,リンスの際にドリッパーをコーヒーサーバーに乗せておけばコーヒーサーバーの予熱もできます。あとは,コーヒーカップにもお湯を注いで温めておくと良いです。器具が温まったら,ドリッパーとコーヒーサーバーのお湯をしっかり切ります。
③ お湯をドリップポットに注いで3分ほど待つ
リンスでドリップポット内のお湯が減った場合は注ぎ足し,ドリップに使う分のお湯をドリップポットに入れておきます。沸騰したてのお湯でドリップすると苦味の成分が強く抽出されてしまうので,少し冷ますために3分ほど置いておくと良いです。
(お湯の温度は80~95℃程度が抽出に向いているといわれます。温度が高ければ苦味が強く,低ければ酸味が強くなります。)
この間に粉の準備をしてしまいましょう。
沸騰したてのお湯を使わず,少し冷ます
④ 粉を計量してフィルターに入れる
抽出したいコーヒーの杯数分だけメジャースプーンで粉を計量します。ペーパーフィルターに入れたら軽くゆすって平らにしましょう。
もし,出来上がったコーヒーの濃さが好みに合わなければ,メジャースプーンの大きさを変えてみるのもアリです。お湯の量を変えるのも一つの手ですが,スケールを使わない場合はお湯の量の管理が難しいかもしれません。
⑤ コーヒーの粉の蒸らしをする
粉の準備ができ,沸騰したお湯をドリップポット移してから3分くらい経過したら,次は“蒸らし”を行います。蒸らしのやり方を簡単に言えば「コーヒーの粉全体が湿るくらいのお湯をかけて30秒ほど待つこと」です。お湯と粉をあらかじめ馴染ませておくことと,粉にお湯をかけた際に発生する炭酸ガスを抜いておくことでしっかりムラなく抽出ができるようにする効果があります。
蒸らしの時間については様々な意見がありますが,私は30秒を目安にしています。蒸らしは長すぎると雑味が出やすくなり,短すぎるとコーヒー豆の味が引き出せなくなる傾向があります。
絶対的な正解はありませんので,お好みで時間を調整しましょう。
粉全体を湿らせて30秒ほど待つ
⑥ 1投目のお湯を注ぐ
蒸らしが終わったらお湯を注いでいきます。このとき,全体のお湯の量を1度に注ぎ切らずに3,4回に分けて行います。
まずは1投目です。粉の真ん中あたりにお湯を注ぎ,そこから外側に向かって「の」の字を描くように3周ほどお湯を回し入れます。ジャバジャバと流し込むのではなく,粉の上にお湯を置くようなイメージで,ドリップポットの先をコーヒーの粉に近づけてそっと注いでいきます。
湯量をしっかり出して,かなりゆっくりと「の」の字を描くくらいでちょうどよいかと思います。YouTubeにカリタ公式の動画がありますのでそちらを見るとイメージがしやすいです。
ここで,お湯をドリッパーに当てながら注ぐと,お湯がコーヒーの粉の中をあまり通らずにコーヒーサーバーに落ちてしまい,しっかりと味が出ません。ドリッパーに当てないように気をつけましょう。
3周ほど注いだら少し待ちます。
「の」の字を描くように丁寧に注ぐ
⑦ 2投目のお湯を注ぐ
1投目のお湯が下に落ちていき,粉がくぼんできたらお湯が落ちきらないうちに2投目を注ぎます。先ほどよりは少なめに1周半~2周ほど「の」の字を描くようにお湯を回し入れます。
⑧ 3,4投目のお湯を注ぐ
コーヒーのおいしい成分はドリップの前半で既に出てしまっているといわれます。なので,3,4投目ではどちらかというとコーヒーの濃さの調整を行うイメージです。2投目と同様に「の」の字を描くように丁寧にお湯を注ぎます。
コーヒーサーバーの目盛りを見て,抽出したい杯数のところまでコーヒーが落ちたら,ドリッパーを外し,用意しておいた予備のカップの上などに除けておきます。
意見が分かれる内容なのですが「ドリッパーのお湯は最後まで落としきらない」というのが一般的によく言われていることです。お湯を最後まで落としきると,ネガティブな味の成分まで入ってしまうというのがその理由です。
ただし,「お湯は落としきっても大丈夫」との意見もあるので,自分でどちらが好みの味になるか確かめるのが良いと思います。
私は“落としきらない派”なので,必要な量のコーヒーができたらお湯が落ちきらないうちにサッとドリッパーを外しています。あらかじめ,外したドリッパーを置いておくためのカップを用意しておくとパニックにならずに済みます。
完成
カリタのドリッパーを使った抽出はいかがだったでしょうか。意外と難しかったのではないでしょうか。自分の好みの味に近づけるために,粉の量やお湯の温度,蒸らし時間,注ぎ方…などなどいろいろ試して研究してみるのも面白いかと思います。
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